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NORTH VILLAGE で密かに開催されている
SHISHA ONE GRAND-PRIX (以下、シーシャワングランプリ)。
スタッフや店長を対象にしたシーシャの技術を競う大会に潜入取材を行った。
大会前のNORTH VILLAGEでは、「シーシャワン」という言葉をよく耳にするほど、スタッフの間では話題の大会である。
しかし、外部の者がその全貌を知る由もない。
そんな NORTH VILLAGE で行われているシーシャワングランプリに、アータルとして特別に取材の許可をいただいた。
この記事では、シーシャワングランプリの概要や大会当日の様子を紹介する。
自伝や旅をテーマにした書籍を刊行する出版社として創設したのが、NORTH VILLAGE。
『遊びを仕事に』をモットーに、常に自分達がワクワクする形で仕事をしている。
書籍『放浪』を製作する為に、
俳優 窪塚洋介氏と共にエジプトを旅していた際にシーシャの持つ魔力に魅せられ、滞在中に機材を買い漁り、帰国した翌日にシーシャカフェをオープン。
世界中を自分達の足で渡り歩き、独自の研究を重ねたシーシャと、個性豊かな空間とサービスを武器に、
現在は都内に11店舗、大阪2店舗を展開。アジア最大級のシーシャカフェグループだ。
100種類以上のフレーバーを取り扱い、ミックスも可能。
ゆったりとくつろげる空間で、Free Wi-Fiと電源を完備。
店内にある様々な書籍・雑誌・漫画をシーシャとともに楽しめる。
友人との遊び場として、恋人とのデートスポットとして、ビジネスマンの作業場として、様々な用途で自由にくつろげる空間として人気沸騰中。
NORTH VILLAGE 全店舗のスタッフ約30名(店長を除く)を集めてシーシャの技量を競うコンテストがSHISHA ONE GRAND-PRIX ~ staff side ~ だ。
このコンテストの仕掛け人であるAtsuさんにグランプリ開催の背景やその概要についてお話をうかがった。
『誰が一番美味しくシーシャを作れるか?』
その昔、都内一部のシーシャマニアの間で、“シーシャ四天王”と呼ばれる者が存在していた時代もあった。いつの時代も“誰がナンバーワンか?”は度々話題にされるコンテンツですよね。
現在では都内のシーシャ屋の数が100件を越えようとしており、徐々にシーシャに対する認知度も増してはおりますが、日本におけるシーシャはまだまだ歴史が浅い。どういう煙や味が正解かも未だに店舗や作り手によって様々な形となっております。
もちろん、そこの多様性が面白さではあります。
同時に、アンダーグラウンドのカルチャーから発展していく中で、シーシャに対する基準になる物差しを定める事の重要性も感じております。
そんな中でNORTH VILLAGEでは、わかりやすくシーシャのクオリティを数値化し、ゲーム性を持たせながら競い合う大会として、『SHISHA ONE GRAND-PRIX』(シーシャワングランプリ)を4年前から開催し始めました。
NORTH VILLAGEでは、お客様が求める煙に応じて、様々な引き出しを持ち対応する事を大前提として大切にしているので、決して全てのシーシャをマニュアル化する事が目的ではございません。
しかし、全スタッフが NORTH VILLAGE の定める基準に則った『煙』を高水準で再現できる事で、お客様の満足はもちろん、スタッフの自信とプライドを持つキッカケにつながればと考えております。
今回開催された『SHISHA ONE GRAND-PRIX』は新人戦と題し、店長以上の役職の人間は不参加。
新人、中堅クラスの約30名のスタッフを5ブロックに分け、各ブロックの1位のスタッフのみファイナルに進出する。
試合概要は、フレーバー単体と、テーマに対するミックスの2ラウンド制。
お題のフレーバーとテーマは、それぞれの試合の直前に伝えられる。
各ラウンド、制限時間11分の中でフレーバー選定から提供までを行う。
マネージャーと各店舗の店長陣が審査員として、NORTH VILLAGE が大切にする「煙量」「煙の質感 吸いやすさ」「味」の3点を評価する。
同じフレーバーでも温度帯やメイク方法により大幅に味が変わるため、営業ではお客様それぞれの好みを考慮してメイクする事を大切にしている。
第1ラウンドの単体フレーバー戦では、
フレーバーのもつポテンシャルをいかに限界まで引き出せるかを評価するので、フレーバーの温度帯の把握能力などが問われる。
第2ラウンドのテーマに対するミックス戦では、フレーバーを自由に選定して、
テーマの再現度を評価する。
各フレーバーの理解度に基づいた独自性や、足し算引き算のセンスが求められる。
予選からファイナルへ勝ち上がった5名のファイナリストに、シーシャの作り手としてのこだわりや当日の意気込みを伺った。
間違いなくこだわってるポイントとしては、一台一台ちゃんと丁寧に、雑にならないようにしているところですね。
フレーバーごとに温度帯とか穴の数とかヒートマネジメントとか。お客さんをちゃんと見て、吸い慣れてる人とそうでない人で変えたりとか。
作る台数が溜まってる時は、少し遅くなっちゃったとしても、ちゃんとしたクオリティのシーシャを出したいと思ってます。
何ですかね。難しいっすね。シーシャ吸ってからか、わからないんですけど、カレーにめっちゃハマりましたね。シーシャワングランプリのおかげでカレーが好きになりましたね。
シーシャワンに向けて練習するというよりかは、日頃から一台一台しっかり作ろうと思ってて、全部が本番で実験台だと思ってるので、特別シーシャワンを意識したことはないですね。
昨日もカレー食ったんで、フルパワーですね。
おかあさん食堂のレトルトカレーを差し入れでもらって、
カレー食ったんで、頑張りたいですね。
なんか多分、本当に私、今日の他のファイナリストと違う気がしてて。
シーシャすごい好きなんですけど、お客さんとして通ってて。
本業ではないんですけど、好きなことで仕事したいと思って始めたんです。
なので、煙感とか本当はよくわかってなくて、ただ自分が「美味しい」って思ったのをみんなも「美味しい」と思ってもらうことだけ。
全然こだわりとかなくて、「美味しい」と思ってもらえればいいと思ってます。
本当はすごく嫌で、順番なんてつけちゃダメだよ、順番つけちゃうの?って思ってて。
どうやって出ない言い訳を作ろうかと、前日まで考えてたけど、もうやるしかないと思って。
出てみたら、本当にミラクルでファイナルまで行けて。
自分でも上手いと思ってなかったから、たまたまでも、初めて自分の美味しいシーシャに気づけたっていう、すごい素敵な場だと思ってます。
今日の5人に残れただけですごいラッキーだと思っているので、勉強というか、評価をもらいにきているつもりで、良い評価がもらえるように。
緊張して震えちゃうんですけど、頑張ろうと思ってます。
まず、お客さんが求めてる味を目指して作ること。
あとは、他のいろんなシーシャ屋さんと色を分けないといけないと思ってて。
NORTH VILLAGEは、爆煙で美味しいっていうのが売りなので、煙でも楽しめるように作る意識をしてます。
シーシャワン前のシーシャと練習してからのシーシャは、よくなったと言ってもらえることがあって。もっと普段の営業で気づけることがあって、炭の調整とか、この熱量であってるのかとか、意識できるようになった。
気づきの幅が広がったし、スタッフ全体の意識も変わってると思う。
朝、ステーキを食べてきたので、吐きそうだなって気持ちと戦ってるんですけど。
自分に負けない。自分との戦いだと思ってますね。
お客さんに出す煙感もそうですけど。お客さんに出すのは、ミックスが多くて。
ミックスする時は、一つまた違った提案ができるようにしてます。
それでも頼まれたミックスが良いと言われる場合は、そのミックスで最高のものを作る。
ちょっとこうした方がいいなって思った時には、提案してみる。
お客さんが提案に乗ってくれたらそれで出してみて、どうですか?っていうような感じにはしてます。
自分は、ミックスを考えるのが好きで。
よく入ってる下北沢店では、一緒に入ってる人たちのミックスセンスを学びながら、このミックスした時に、実はこういう味になるんだって知れるのが楽しいです。
ミックスの方が広がりとして、自分的には得意分野で広げていけると思ってます。
ミックスにこだわりが強いですね。
自分の実力に自信がなくて、そうなるとモチベーションが上がらないんですけど。
そういうのを明確に出せる場所、自分が自信無い分、最初は挑戦するのが不安だった。
けど、予選ブロックで1位になれて、自分の自信になった。ミックスセンスを褒められると、これでよかったんだなって思えた感じです。
ミックスにこだわってきたところをしっかり出せたらと思います。
こだわってるポイントは無いですね。心を込める、もうそれだけです。
シーシャと一緒に、旅に出ようみたいな感じですね。
「お前は、これからお客さんのところに行くんだぞ。よろしくな。ちゃんと炭替えとかするからな。」って感じで。
炭替えのときも、「今はどんな感じだ?旅の途中どうだ?いい旅できてるか?」って感じで。
心を込めて、ただそれだけです。
作り方とかではなく、心を込めて作る。
出稼ぎですね。
優勝したら、なんでも願いを叶えてくれると聞いているので。
優勝して全部金歯にしてもらおうと思ってます。
美味しいシーシャ、作ります。
9月29日(日) シーシャワン グランプリ ファイナルは、North Village 渋谷 道玄坂小路店で行われた。
開始時間は、店舗営業開始前の12時。
開始時間の30分前には全ファイナリストが揃う。中にはファイナルの見学に来るスタッフも。
やや緊張している表情だが、スタッフ同士の仲の良さが伺える和やかな雰囲気。
ファイナルの審査員は、マネージャーと店長陣の4名。
評価項目について入念な打ち合わせをしている。
5台分の炭の炊き上がりを待ち、ファイナルが開始された。
第1ラウンドは、フレーバー単品での評価。
当日マネージャーから言い渡されたお題は、
「アルファーヘルミント単体」
このフレーバーが、得意な人と苦手な人、
それぞれの感情が垣間見える。
トップバッターがスタートし、
3分のインターバルで続々とスタートしていく。
審査員席へ提供されたシーシャを評価項目に沿って慎重に審査していく。
作り終えたファイナリストは、その様子を不安げに見守っていた。
続々と提供を終えていくファイナリストたち。
自分が作ったシーシャと他のファイナリストが作ったシーシャを吸い比べ、それぞれの意見を交わしていた。
そして第2ラウンド、テーマに対するミックス戦へ。
マネージャーから言い渡されたテーマは、「ミルクティー」
「ミルクティー」というテーマに対して、それぞれの解釈で自由に表現していい。
その日のお店のフレーバー事情を加味しながら、頭の中で最高のミックスを考える。
その場で選定した5,6種類のミックスでミルクティーの再現性と独自性を目指すファイナリスト。
立ち上げ方もそれぞれのスタイルが垣間みえる。
ゆっくり蒸らす、うちわで仰ぐ、ハンディファンを使うなど、フレーバーの特性を考えながら、それぞれやり方で立ち上げていく。
提供されたミックスに対して、評価していく。
再現性や独自性の解釈が別れる場面もあり、真剣な様子で熱く議論していた。
第2回戦の全ての評価が終了し、審査員それぞれの得点を集計。
審査員4名の総合得点で優勝者が決まる。
集計を待っている間には、緊張感が漂う静けさに包まれる。
審査員を代表して、マネージャーが結果発表。
第1ラウンドと第2ラウンド、
それぞれのファイナリストの評価を詳細に伝えた。
今回のシーシャワングランプリファイナル
スタッフサイドの最終結果がこちら
1位 51.2 point
ファイナリスト3:ともこ
2位 49.8 point
ファイナリスト5:なおき
3位 49.5 point
ファイナリスト2:ひなの
4位 48.5 point
ファイナリスト1:かける
5位 40.8 point
ファイナリスト4:ののか
コンマ数ポイント差で順位が入れ替わる、非常に拮抗した大会となった。
各審査員からの総評。
非常にレベルの高い戦いでありながら、
ファイナリストそれぞれの良かった点と課題点を明らかにしていった。
これでシーシャワン グランプリ スタッフサイド ファイナルが終了。
終了後には、ファイナリストたちが審査員にアドバイスを求めており、
シーシャの技術向上に対する貪欲な姿勢が伺えた。
今回のシーシャワングランプリ の総評をこのグランプリの仕掛け人であり、
当日の審査員をつとめた Atsuさんに話を伺った。
ファイナルに相応しく、非常にレベルの高いゲームとなりました。
参加者それぞれがこの日に向けてのトレーニングを積み、また一段とシーシャのレベルが上がった事は、営業においてもお客様の満足に直結するモノとなる事は間違い無く、ゆくゆくはNORTH VILLAGEの看板を背負う役割になる新しい力が、素晴らしく育ってくれている事を誇らしく思います。
ただ、
「美味しいシーシャ」を提供できれば、全てがOKかと言われると、決してそうでは無いとも思います。
NORTH VILLAGEは、シーシャとコミュニケーションを通じて、お客様の1日をちょっとだけ豊かにする感動体験を提供する場です。
全てのお客様には、来店された時よりも、退店される時に少しでも豊かな気持ちになって頂く事を大切にしております。
そういった理念も常に共有し続ける事が、何よりも大事かと思っております。
会社が大きくなればなるほど、
<チェーン店 = 画一的なお店>
という印象が強くなってくるとは思いますが、それぞれのスタッフの個性を活かしつつ、NORTH VILLAGEでしか味わえない面白さを発信していきたいと思っております。
筆者もファイナリストが作ったシーシャを吸わせてもらったが、どれもハイレベルで、判断が難しかった。
ファイナリスト同士の会話からは、焦りと緊張でフレーバー選定が上手くいかなかったという声も耳にした。
相当なプレッシャーを感じていたと同時に、それだけ真剣にシーシャと向き合っていることがうかがえた。
シーシャワングランプリ終了後も、NORTH VILLAGE 各店舗で、シフトの前後で学びにくるスタッフをよく目にするようになった。
この大会は、間違いなくスタッフの良いモチベーションとなっているようだ。
スタッフがそれぞれの方向性で「美味しいシーシャ」を目指し、切磋琢磨している空気があり、今後がとても楽しみになった。
今回のシーシャワングランプリ終了後の展開として、制作中の2つのコンテンツを紹介する。
今回のシーシャワングランプリは店長を除くスタッフのみで開催された staff side だった。
SHISHA ONE GRAND-PRIX GRAND FINAL では、店舗を任されている店長陣とstaff side 優勝者を交えて開催される。
正真正銘のNORTH VILLAGE NO.1を決める最終決戦となる。
年明けの開催が予定されており、この大会もATARとして取材許可をいただいた。
次回の記事も是非、お楽しみに。
SHISHA ONE GRAND-PRIX ~ staff side ~ 終了後、
グランプリの優勝者が東京近郊や関西のシーシャ専門店へ学びにいく物語を取材する。
日本全国で100店舗を超えているシーシャ専門店。
「美味しいシーシャ」を目指す道として、
ただ一つの正解はなく、未だに模索中である。
これまで NORTH VILLAGE が理想とする煙を目指してきたスタッフが様々な「美味しいシーシャ」への道を学んでいく様子を連載。
NORTH VILLAGE の視点を交えながら
各店舗の特徴を浮き彫りにする。
SHISHA ONE GRAND-PRIX GRAND FINALと合わせて
こちらも是非、お楽しみに。
誰もがサードプレイスを持ち、他者との繋がりを感じながら、精神的に豊かな人生を送れる社会を実現させるために2017年より活動して参りました。
そのためにATARSHISHA(アータル)は、シーシャのカルチャーを記録、編集、発信すること通じて、シーシャカルチャーを形作る~Shape the Smoke~させて参ります。
サードプレイスの文脈にシーシャを載せ、ITの発達とともに希薄化されてきたコミュニティー、人間関係を豊かに変えるライフスタイルを提案いたします。